屈強な戦士なのに美女にはめっぽう弱いとか、鬼の営業部長なのに奥さんには弱い(甘い)とか、非情な武将なのに甘味(スイーツ)に弱いとか、誰でも「ああっ!これには頭が上がらないっっ(=弱いもの)」というものがあるじゃないですか。ないですか?私はどれにも弱いんですけど。
本題はそのどれでもなくて、今回は「初めての手術」で分かった私の弱いモノにまつわるお話しです。

数年前からアゴの辺りにできた小さなコブが、最近特に気になる大きさに成長してきました。
コブが目立たないようにと顎髭を伸ばして隠していたのですが、
なんと先々週に入った辺りから匂いを発するようになったことに気付き「これは然るべき場所で然るべき処置をせんとならん」と思うようになったのです。

そこで市内のクリニックを探すことになるのですが、
こういうときに何が指標になるかと言えば、クチコミサイトの情報もさることながら、本体のホームページでの情報がしっかりと表示されているところかどうかも大きな判断基準となります。もちろんホームページの情報と実際の状態とに差があってはなりませんが、病気のこととなれば自分の症状がいったいどういう事なのか、その病院で間違いないのかなど頼りになるのはホームページで得られる情報なのです。総合病院へ行くという手もありますけどね。でも頼れるかかりつけ医に辿り着くきっかけになるのはこのご時世、ホームページなんですね。

それで「ここだ!」と思えるクリニックを見つけることができまして、朝早く行ってきました。皮膚科はとても混むと聞いていたので、開業時間前にせめて駐車場くらいは確保出来る早さで行こうと思いまして。果たして、開業時間前からもう列が出来ていました。

「今日はどうなさいました?」
「ちょっとここ(アゴ)のコブ?が気になりまして」
「どれどれ?…あーこれは、粉瘤ですね」
「??」
(解説資料を手渡される)
「皮膚の中に袋がつくられてできるんです。破ける前なら手術で取り出せますけど、破けてしまうと炎症起こすし、2、3ヶ月で再発します。手術といっても10分程度で終わりますよ」
「(はぇ〜〜〜。なるほど、手術でとれるのか。とりたいな)」
「エコーで見てみましょうか」
「はい」

で、エコーで優しく見てもらうと(健康診断の時のお腹周りのエコーはぐりぐりされますけど、この場合は優しくでした)、豆粒大のものが確かに横たわってますね。
「手術するとしたらいつできますか?」
私、もう取り除いてもらう気満々です。
「今は予約がいっぱいなので、21日以降になりますね…」
「そうなんですか(コブ無しでお盆を迎えたいなぁ…)」
私の落胆する様子を見て何かを感じられたのか、先生は、
「外来診療が終わった後なら対応できますよ」
「え?本当ですか?今日でも大丈夫ですか?」
私の気迫に押されたのかどうかはさておきちょっとズレたメガネを指で上げつつ、優しそうな先生が「受付で予定を確認してみますね」と言ってくれました。
受付の方に「外来の診療は大体5時半くらいまで受け付けているので、その頃にまたお越しください」と笑顔で言ってくれまして、晴れて手術の予約を取り付けたのです。

それからは仕事の業務で市役所に行ったり事務所へ行ってチラシの製作を進めたりするも、
私の頭はコブ取り手術(というか、このコブの存在を一刻も早く無くしたい気持ち)でいっぱいで、ワクワクしていたのです。
手術も初めてだし、それが実際は10分で終わるなんて私のような手術初心者向けじゃないですか。早く夕方が来ないかと思いながら午後を過ごしていました。

さて、夕方になり、心トキメかしてクリニックへ再訪。
受付には診療を待つ患者さんが20名ほど残っていて、これは予定されていた時間よりも遅くなりそうな雰囲気です。待合室のイスが満席で、立って待っている人も見られたため私は駐車場に停めた車で待つことにしました。
待つこと1時間。待合室の人影が減ってきたのを確認して、再再度受付へ。
高校野球中継も終わり、チャンネルは民放の番組に切り替えられました。私はテレビの内容が頭に入らないほど待ち焦がれている状態です。
そこから更に30分ほどでやっと声がかかりました。

術前の説明や同意書の内容を確認し、いよいよベッドに横になります。
そこへ先生が来て、
「じゃ、麻酔打ちますよ〜。チクっとしますからね〜」
(ワクワク)
「気分が悪くなったら教えてくださいね〜。大丈夫ですか〜」
「はい。大丈…夫。あれ、ちょっと気分が悪い…かもしれま……」
そのまま私は目を閉じてしまいました。


PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像



……
………

「ツッチーさん

「ツッチーさん!

名前を呼ばれているような気がして目を開けました。
ココハドコダ?
自分が横たわっていることが分からずに、見えている光景がなんなのか理解できません。
そして、誰かが私の顔をのぞき込んでいます。
コノヒトハダレダっけ?

……
あ、先生だ。看護師さん達もいる。
そうです。手術の途中だったのです。
気持ちいい夢を見ていました。起こされて急速に忘れ去ってしまったのですが、確かに夢を見ていて、それがまた心地良い夢だったのです。

ところが、院内は騒然としていました。
私が、急に顔色が悪くなり意識を失ってしまったのですから。
看護師さんは手を握ったり血圧を測ったり、名前を呼んだりしていたみたいです。
ほんの10分くらいの間に起こった出来事ですが、こんな風に意識を失うのは初めてです。
「先生、手術は終わりましたか?」
意識は失ったものの、麻酔で寝てしまったうちにコブは除去されたものだろうと期待を込めて尋ねてみました。
「いや、意識がないから切れませんでしたよ」

ガ━━━(゚Д゚;)━( ゚Д)━(  ゚)━(   )━(゚;  )━(Д゚; )━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!

なんということでしょう。
10分で終わるはずの手術の10分を寝て過ごしてしまったのです。
バカバカ、ワシのバカ!

「顔色が良くなってきたし、麻酔も効いているみたいだし、もったいないなー」
もったいない。
麻酔で寝てしまいましたが、効いて痛みを感じない今は絶好のチャンスです。
「もし仕切り直しをするとしても、また麻酔を打たなきゃならないし…」
(……)
「他の病院を紹介するとしても、やっぱり麻酔を打たなきゃならないし…」
(……)
「もったいないなー」

麻酔を打たれてから20分が過ぎて、「効いてますよね?痛くないですか?」とコブの周りを触られます。
触感はありますが、それだけ。何か痛くなるような事をしているんでしょうか?(皮膚をつまんでいるようでした)
「全然痛くないです」
「もったいないなー。もったいない…」
私もそう思っていました。
痛みを感じない今がチャンスなんです。
手術して取り去って欲しい。そのために来たんだし、その時を待っていたのだから。でもなぜやろうとしてくれないんだろう??

あ、そうか!
先生は、私の「やりましょう」を待っているんだと気付きました。私の同意が必要なんだと。
年明けに父が救急に運び込まれた時もやはり、先生は本人の同意を待っていました。
もったいないと言いながら部屋を行ったり来たりしている先生に、私は言いました。
「先生、やりましょう!」
「やりますか!」


David MarkによるPixabayからの画像


そこからまた慌ただしく準備が進められました。
私は触られている感じだけで痛みは全くありません。
時々先生は「痛くないですか?」と心配してくれましたが、痛みは全く無く、むしろ麻酔が効いている間にきれいにコブを取り去ってもらいたい一心でした。
「ああ、良かった。破れていないしきれいに取れそうですよ」
「よおしぅふおえがいしぃあす」

それからは10分とかからずに縫合まであっという間でした。
「きれいに取れましたよ!」
「ありがとうございます!よかったー」
「溶けない糸で縫っていますから、抜糸にまた来てくださいね」
「はい!…でも、すみませんでした。皆さんにご迷惑をかけてしまいました」
「まぁまぁ。(切って)良かったですよ」
私は嬉しさと申し訳なさでいっぱいでした。

帰りは自動車を運転して帰れます。お酒は今日は飲まないでくださいね。あとは、今日は切った部分が下にならないように寝るときに気を付けてください。
これらは術前に説明されていた事柄です。
でも、
「今日は帰りは自分で運転されます?しない方がいいですね。誰か家の方に迎えに来てもらえそうですか?」
自分ではもう大丈夫だと思っていたのですが、念のため家内を迎えに呼びました。
そして帰り支度(術前に上半身裸になっていたので)を始めました。

顔色が悪かったときに点滴までしてもらっていたのですが、手首付近に刺した針は厳重にガーゼやテープで固定されていまして、帰る準備が出来たのでいよいよ点滴も抜こうとした時です。
私は毛深いので、テープを一気に剥がそうとすると気が引っ張られて痛いのです。
看護師さんは気を付けてそうっと剥がそうとするのですが、なかなか上手くいきません。やっと剥がれた時少し血が滲んだのですが、それを見た私は貧血を起こしてしまいました。
力なくか細い声で「ああ〜すみません、ちょっと横になります」と再びベッドに横たわってしまったのです。


Thanks for your Like • donations welcomeによるPixabayからの画像


自分でもやれやれと思いました。
術後は嬉しさと申し訳なさの半分半分だった気持ちも、貧血でぶっ倒れてしまった今は30:70くらいになりました。更に、
「薬が出ますので、薬局も待ってもらっていますから」(帰る時間を過ぎて、私が来るのを待ってくれている)
と言われ気持ちが15:85くらいに。時計も午後9時を回っています。10分で終わるはずの手術をこんなに長引かせて、皆さんに残業させてしまったのは他ならぬ私です。
こんなにしてもらって有り難いし申し訳ないし、申し訳ないけど本当に有り難いなと思いました。
クリニックのスタッフの皆さんにも薬局の皆さんにも支えられなんとか手術を無事に終えることができました。


Michal JarmolukによるPixabayからの画像

コブ(粉瘤)は気付いていてもとらない人が多いのだそうです。
渡された解説書によると、下手に弄って(刺激して)破裂すると赤くなり数ヶ月で再発するものなのだそうです。ニキビみたいに潰したり爪でギュッと絞ったりしないで、先生とよく相談した方が良いです。摘出されたコブは成分を分析に回し、腫瘍かどうかの診察もしてくれるそうです。

私は体質で麻酔(と貧血)に弱いという事が分かりましたが、先生をはじめスタッフの皆さんの支えのおかげで術後の痛みもなくあとは抜糸を待つだけです。本当に良い縁だったなと思います。
今年は父の初盆でもありますし、コブが取れて晴れ晴れしい気持ちでお盆を迎えようと思います。
最後に、クリニックの先生をはじめスタッフの皆さま、本当にありがとうございました!

追記:
私の体質のせいでクリニックの皆さんには多大なご迷惑をかけてしまいました。
とても良くしていただいたクリニックですので、お名前を出して紹介したいとも思いましたが、「粉瘤の摘出手術はこんなに大変だ」と思われたら逆にクリニックの皆さんにも更にご迷惑をかけてしまうのではと考えた末に、お名前は伏せた方が良いと判断いたしました。
手術は部分麻酔をしますから、ご自分が麻酔は大丈夫かどうか先生とご相談された方が良いと思います。私の場合、歯医者での麻酔に今まで特に問題があった訳では無いので大丈夫と思い込んでいたため、事前の確認を怠った事に原因があると思います。でも普通は10分程度の手術で簡単に取れるモノですので、あれ?これはコブかな?と思ったらお医者さんに相談してみてください。

※画像は全てイメージです。実際のものではありません。


この記事を書いたひと

ツッチー@クリケット代表

感動映像クリエイター

高校卒業後アメリカの大学へ留学し、美術学部デザイン課を専攻。帰国後は広告代理店勤務、制作会社、営業の修行をすべく外資系損害保険会社勤務を経験。制作や営業の経験を活かし岩手で「写ネットいわて」を立ち上げ、写真撮影や記念品の制作において多くの感謝の手紙をお客様よりいただく。印刷会社勤務での制作を経て独立、クリケット創業。餃子作りが趣味です。

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なも

想いをカタチにするWEB・筆文字デザイナー

柴犬大五郎と暮らす、犬とペンギンをこよなく愛するwebデザイナー。
筆書きや手書き文字デザインも担当しています。趣味はキャンプ、食べ飲み歩き。

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